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病院で病棟薬剤師としても働いていた時、繰り返し入院される方達と接し、元気になるとは？という思いが出てきました。

又、数回、担当していた患者さんが笑って会話した次の日に亡くなるという経験をしました。薬の副作用で亡くなっただろうと思われる症例も経験しました。全ての赤ちゃんが、五体満足で生まれるわけではないということは頭では理解はしていましたが、現実を目の当たりにすると医師ではないですがどうにかできないのか？という思いがありました。

患者さんが元気なうちに、少しでも健康寿命を保ってもらいたい。遺伝的疾患は別ですが、赤ちゃんが、少しでも健康に生まれてくるように、妊娠前から母体のケアの必要性があるのでは？と感じました。

医療用の薬は便利で、必要以上に飲まなくていいものなら飲まない方がいいと思うようになりました。これらのことから、漢方や栄養補助食品の必要性を感じたのも大きなきっかけです。　

病院に入院するようになる前に、心身のケアすることが大切だと思い調剤薬局に就職しましたが、一人一人と時間をかけて話すことに制限があるなど、自分の目指す仕事ではないと感じました。その後、薬局を開局できるという機会に恵まれ現在に至っています。

ご縁で、漢方の勉強会に参加するようになり、一層、今の人達に必要なのは「これではないか」と思いました。漢方を勉強していくと、一番大切なのは「養生」（自らが健康を築き自己治癒力を高めること）であることを教えてくれます。病気の方は養生だけでは足りないので、補う又は瀉す為に漢方や栄養補助食品があるのだということを実感しています。

漢方の考え方に「養生七分治三分」と言う言葉があります。病気の回復には養生の占める割合が７割で治療は効果を発揮しても３割までという考えです。養生をされるときは日常生活上の問題点を考える必要があると思います。

私たち現代人は便利な社会生活を営む上で、自然の法則やリズムから逸脱しているのが現状です。そして、自身の健康についても薬や治療に頼り、直ぐに治る事を選択し、また同じ生活に戻るという養生を軽視しているように感じています。直ぐに治りたいと思うのは当然です。問題なのは、同じ生活に戻るという事です。それは、同じことを繰り返すという事です。

漢方が西洋医学的な発想と違うのは、人間の体は四季に応じて適した養生法があり、個人個人の体質や年齢によって適した方法が異なるという所です。これが、画一的な治療になりがちな西洋医学との違いです（最近はオーダーメイド療法もありますが…）。

同じ病気でもアプローチの仕方は人によって違う（同病異治）ので、漢方は奥深い。そういう事を知ってもらい漢方を身近に感じて欲しいと思っています。